伝統漢方からさわ薬局で、もっともご相談件数が多いのが心の病気です。20年以上にわたり、数多くの精神神経症状・自律神経症状を漢方治療してきました。
病名としては、うつ病、不安神経症、不安障害、自律神経失調、チック、強迫性障害…実に様々ですが数多くの精神神経症状に漢方が対応できることを経験しています。
こころの病気にもはたらく漢方薬
心の病気は必ずなんらかの身体の症状として現れます。その代表的なものは、
- 動悸、ドキドキする
- 手に汗をかく
- 睡眠の異常(寝付きが悪い、または眠りが浅い、途中で目が覚めるなど)
- 喉のつまり感
- 胃や腸(腹部)のはり、ガス
- トイレが急に近くなる(頻尿)
このような症状はよく見られます。例えば、うつ病と不眠でたまに動悸もする、などのように。
心の病気を漢方で治療する場合、まずこれらの身体に現れた症状に着目します。
身体に現れた症状の組み合わせから大まかな傾向をつかみ、まずそれらの身体的な症状に特徴的に使用する漢方薬を候補にしながら治療方針を組み立てていきます。
ひとつの漢方処方で解決するものもありますが、多くは複合しています。例えば、「精神過敏傾向+緊張型の頻尿」や「緊張性の微熱と発汗傾向+体質的な過敏」などのように、複合しているものが多く見られ、これらを予測しつつ経別脈診から得られた情報と問診を重ねて的確な漢方薬を選んでいくところに多くの経験を要します。
お客様の体質にあった漢方薬を適切に選んで服用を続けていると、だんだんと症状の激しさが取れて行き、「大丈夫かな」と自信がつくほどに改善していくのが不思議です。
神経症状・自律神経症状の漢方治療は緩やかに「あせらずじっくり」が基本だと思います。
すでに飲んでいる薬はそのままに
すでに飲んでいるお薬は、どうぞそのままに。
漢方の相談にこられる患者さんの多くは、すでに何らかのお薬を飲みながら治療をしてきた人がほとんどです。その場合、それらのお薬も飲んでいて今の状態ですから、急に勝手に服用をやめることはなさらないでください。
人間の身体には一定の状態を保とうとする「恒常性」があります。病院のお薬を飲んでいれば、それに応じた状態が維持されています。これを急に自己判断でやめるのはとても危険です。
漢方薬を併用される場合も、気になる症状がひとつ、またひとつと取れて充分に自信がついてから、主治医の判断で少しずつ種類を減らしたり、量を減らしたり出来るようになるところを目指しましょう。
とにかく、あせらないことが大事です。
古くから心の病気は漢方で治療されています
漢方の世界は古くから心身医学に取り組んできた歴史があります。今から約二千年前に書かれた東洋医学の古典「霊枢」には、すでに感情の乱れと臓腑の関係が書かれています。
近代では昭和の漢方復興期に学ばれた相見三郎先生(慶応義塾大学医学部出身、満州鉄道病院や慶大の結核療養所などを経て漢方の世界に)が漢方と心身医学について研究され、多くの研究実績を残されています。
こころの病気の漢方治療例
うつ病からの職場復帰
50代の男性。うつ病の診断で休職されたとのこと。動悸や胃の締めつけ感、吐き気、めまいなどがありました。
医師からは抗うつ剤一種類を投薬されて経過をみていましたが、ご家族のすすめで漢方のご相談にいらっしゃいました。
ご症状をお伺いし、候補に考えた気の上衝に対する発散に気うつに対する薬味を兼ねた漢方薬の証を糸練功で確認し、更に補助剤として停滞したものを巡らせる意味で生薬製剤1種類をお勧めしました。
一進一退はあったものの、動悸や不安発作は早期に消失し、運動などの養生もよく守られ、漢方を併用して約5ヶ月後に医師の勧めで職場に復帰されました。
再発防止のため、医師の投薬が終わるまで漢方を併用され、約1年で漢方治療を卒業され、元気に働いていらっしゃるとのことです。
自律神経症状
40代前半の女性。軽いめまいと頭痛があり、なんとなく息苦しくなるが深呼吸が出来ない感じ。仕事が忙しいときなどに動悸が出やすい。吐き気もある。
頭部で自律神経・神経症が現れやすい反応を糸練功でチェック、右手上部から大腸の腑病を確認(※東洋医学の臓腑経絡であり西洋医学の大腸の異常ではありません)。
気と水の停滞に胃腸虚弱を兼ねた漢方薬方が適し、不安発作の頓服として牛黄・麝香の入った伝統薬を補助とする。
1ヶ月ほどで動悸はほとんど気にならなくなる。3ヶ月ほどで寝不足をしたときに軽いめまいがする程度で症状が全般に軽くなってきた。その後、お薬が途切れることもあったが、9ヶ月後には軽い喉のつまりを感じることがあるという程度になり、当初の諸症状は消失。自信をもたれたので、そこで漢方治療を一旦終了した。
20年以上ほぼ毎日相談を受けています
伝統漢方からさわ薬局では、心の病気の相談は最も相談件数が多く、ほぼ毎日なんらかの精神神経症状・自律神経症状の相談を受けています。
つらいのになかなかわかってもらえない、漢方薬も試したけど思ったように効かなかったという方がたくさんいらっしゃっています。安定剤をもらって飲むと効くけど、飲み続けることに不安を感じて相談に来られる方もたくさんいらっしゃいます。
20年以上ずっと相談を受けてきて、様々なタイプをみてきました。当初は今から思うとかなり大まかな治療でしたが、それでもなかなか良くならない患者さんの状態を検討し続けて、ようやくかなり広範囲に対応できるようになりました。
専門書に書かれている通りではありません。専門書に書かれているのは、代表的な治療の切り口のみであり、実際の患者さんはそれらが複合していたり、一般的には更年期に使うような処方が若い男性にもみられたり、いかに縦横無尽に広く検討するかにかかっていると思います。
どうぞあきらめずに、ひとりで悩まず、気軽にご相談くださいね。
ご相談は完全予約制です
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