不妊症の漢方薬・漢方治療について

不妊症についての情報は専門のサイトにゆずりますが、現在多くの方が専門医を受診していらっしゃいます。不妊症に対して漢方が効果をあげることは珍しくなく、漢方が力になれる重要な分野と考えます。
からさわ薬局では10年ほど前から不妊症にも取り組んでおります。他にご相談の多いご病気の対応のため、積極的なアピールを控えておりましたが、先人達から受け継いだせっかくのノウハウと技術を活かすことの重要性を考え、今後は積極的に取り組んでまいります。

「大塚敬節先生のヒント」

からさわ薬局に不妊症でご相談にみえる方は、すでに通院歴も1年〜2年以上にわたるような方ばかりです。そうなると難しい方が多いため、皆さんが必ず妊娠・出産できるとは言い切れませんが、そんな背景を考えてみても実に多くのお客様の喜ぶ笑顔と出会うことができました。

もちろん、すでに他の漢方薬局や漢方を処方する医師の治療を受けてきた方も珍しくありません。
難しい患者さんをずっとみてきて、教科書的な婦人科の漢方だけではやはり難しいと思います。

昭和の漢方復興に尽力された名医・大塚敬節先生がこんな話をしています。

ある婦人に、慢性胃炎に対して安中散(あんちゅうさん)という漢方を与えたところ2ヶ月あまりですっかり元気になった。ところが3、4ヶ月たったらまた胃の具合が悪いというので診察すると妊娠しているとみられた。その患者さんは16年も妊娠できなかったために妊娠したと信じなかったので、婦人科医を紹介してみてもらったところ間違いなく妊娠していた。

安中散は今では市販の漢方胃腸薬にも採用されている処方ですが、これを服用して体調がよくなったら妊娠した。実に漢方の不思議なところ、病名漢方だけでは限界がある真理を教えてくれています。(※この事例はたまたま安中散でしたが、そんなに簡単ではないので自己判断をしませんようにご注意くださいね)

漢方で「妊娠しやすい体質づくり」するためには様々な要素を考えていかなければなりません。
もちろん、専門医によって西洋医学的に診断された内容は漢方を考える上でも大いに参考になります。

「女は七の倍数、男は八の倍数」

養命酒のCMですっかり有名になったこのフレーズ、東洋医学の古典「黄帝内経素問」の「上古天真論」に書かれている生殖機能についての話が元になっています。「七損八益」とも言われます。
上古天真論には女性は成長に伴い「任脉が通じ血海である衝脉も盛んになり生殖機能が備わる」ということが書かれています。東洋医学的に不妊を考える上で、重要なポイントです。任脉を通じ衝脉を盛んにする治療点をしっかりと検討することが大事であり、技術を要するところです。

私の師匠の師匠である、故・入江先生は古典のこの内容に着目し、針と漢方をもちいて縦横無尽に治療を発案され、大きな礎を残しました。私もその流れを師匠から受け継いだ一人として、北海道では誰にも負けないこのノウハウをより一層磨いていきたいと思います。

「妊娠しやすい体質づくり」

まず第一に検討するのは、妊娠しやすい体質づくりです。
不妊症の患者さんに特有の反応点をいくつかチェックし、どこに問題があるのか検討します。
血の不足(血虚)、冷え症(寒証)、胃腸系の力不足(脾虚)、ストレスや自律神経の不安定(思慮有愁)など様々な原因が考えられ、それらを解析していきます。

その他、西洋医学的に診断された異常があれば、それらに対しての対策も含めて検討します。
卵管の異常、抗精子抗体の問題、高プロラクチン血症の問題、甲状腺機能低下の問題、それらの状態がどの程度重要かも併せて検討していきます。

もちろん、ひとつの原因だけとは限りませんが、いくつか考えられるポイントから優先順位の高いものに絞り込むことで服用にも無理の無い方法を提案できるように努力しています。

「習慣性流産(不育症)/安胎の漢方」

妊娠できたらそれで終わりではありません。習慣性流産の患者さんは必ず安胎薬(妊娠を維持するための漢方:古典にもいくつか書かれています)が必要になります。流産の経験がない方でも妊娠を維持する力に不足がないか、妊娠特有の反応を調べながら適応する漢方を検討しています。妊娠中毒の予防や産後の肥立ちのためにも安胎薬はとても重要です。

習慣性流産でご相談にこられる患者さんの場合、妊娠しやすい体質づくりの漢方と安胎の漢方が同じものであることがしばしばみられます。また、妊娠しやすい体質づくりの段階と妊娠後の安胎薬で基本の漢方薬が同じでも、補助剤の組み方を時期にあわせて工夫する必要もあります。

「男性の不妊症」

皆さんご存知のように、男性に問題がある不妊症も数多くあります。
この場合も漢方でできることがたくさんあります。例えば、精子の数が少ないと言われた患者さんでも、漢方によって運動性が飛躍的によくなり自然妊娠にこぎつけることも珍しくありません。男性に限りませんが、ストレスが影響しているケースも多く見られます。
男性不妊症のご相談も受付けています。

不妊症の患者さんは周囲からのプレッシャーや、年齢を考えてのあせりなど様々なものを抱えていらっしゃいます。ご主人や周囲のご家族の理解と協力がとても重要です。そして、漢方を始めるにしても早いほど確率が高くなります。お力になれますよう、努力してまいります。

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